分子コンピュータの現状と展望
SGCライブラリ - 31
分子コンピュータの現状と展望
分子プログラミングへの展開
萩谷昌己 編著
2004年3月25日 初版発行
理論とシミュレーション
Adleman の計算モデル
有限アルファベット 上の文字列を DNA 分子を用いて符号化し、文字列の多重集合に対する演算を DNA 分子に対する実験操作を用いて実現する。
- 分離(Separate):
- 集合 を文字列 を部分文字列として含む文字列の集合 と 含まない文字列の集合 に分割する。
- DNA 分子の抽出実験を試験管 に対して行うことに対応する。
- 混合(Merge):
- 集合 と に対して、和 をとる。
- 試験管 と の内容物を混合させる操作に対応する。
- 検出(Detect):
- は が空集合でないならば YES を返し、 が空集合ならば NO を返す。
- 電気泳動法などを使って、DNA 分子の存在の有無を確認する実験操作に対応する。
- 増幅(Amplify):
- に対して、内容が と等しい多重集合 と を生成する。
- PCR を用いて DNA 分子の量を増幅する実験操作に対応する。
ワトソン・クリックの相補性:
- 塩基 A は塩基 T のみと会合する。
- 塩基 C は塩基 G のみと会合する。
ハイブリダイゼーションを利用して生成された文字列集合に、上記の 種類の命令で記述されたプログラムを適用することにより計算が実行される。