物理ノート

サイエンス社「数理科学」SGCライブラリの読書メモ

理工系のためのトポロジー・圏論・微分幾何

SGCライブラリ - 52

理工系のためのトポロジー・圏論・微分幾何

双対性の視点から

谷村省吾 著

2006年12月25日 初版発行

外延と内包の双対性

内包的に規定された集合

 {H = \{x \in X\,|\,f(x) = k_0\}}

  • 集合  {K} の元  {k_0 \in K}
  • 写像  {f: X \to K}

別の集合  {K^{\prime}} と単射  {i: K^{\prime} \hookrightarrow X} を見つけて開集合  {H} を外延化:

 {H = \{i(k^{\prime})\,|\,k^{\prime} \in K^{\prime}\}}

この作業が方程式  {f(x) = k_0} を解くことに他ならない。

双対性

実数体  {\mathbb{R}} 上のベクトル空間  {V}

  • ベクトル  {\mathbf{v},\mathbf{w} \in V} の和: {\mathbf{v} + \mathbf{w} \in V}
  • 実数  {\lambda \in \mathbb{R}} によるスカラー倍: {\lambda\mathbf{v} \in V}
  •  {V} は有限次元とする。

 {V} 上の一形式  {f: V \to \mathbb{R}}

  •  {f(\mathbf{v} + \mathbf{w}) = f(\mathbf{v}) + f(\mathbf{w})}
  •  {f(\lambda\mathbf{v}) = \lambda f(\mathbf{v})}

 {V} 上の一形式全体の集合  {V^{\ast}} {V} の双対空間と呼ぶ。

 {V^{\ast} = \{f: V \to \mathbb{R},} 線形  {\}}

双対空間の双対空間:

 {V^{\ast\ast} = (V^{\ast})^{\ast} = \{\tau: V^{\ast} \to \mathbb{R},} 線形  {\}}

写像  {\vee: V \to V^{\ast\ast}} は線形同形写像であり、 {V^{\ast\ast} = V} と書いてよい。

  •  {\vee: V \to V^{\ast\ast}}
  •  {\mathbf{v} \mapsto \hat{\mathbf{v}}: V^{\ast} \to \mathbb{R}}
  •  {f \mapsto \hat{\mathbf{v}}(f) := f(\mathbf{v})}

双対性の一般論:

  • 対象  {X}
  • 標準的な系  {K}
  •  {X} を外から眺めて評価する者  {f}
  •  {M = D(X) = \{f: X \to K}(条件つき) {\}}
  •  {M} を外から眺めて評価する者  {x}
  •  {X = S(M) = \{x: M \to K}(条件つき) {\}}

 {x \in X} {f \in M} に対する測定器として機能する。

自他の相互規定の反射  {X \leftrightarrow M} が双対性である。

位相空間

位相空間とは、集合  {X} に次の条件を満たすような部分集合の族  {\mathcal{O} \subset \mathbf{2}^X} を備えたものである:

  •  {\varnothing,X \in \mathcal{O}}
  •  {U_1,U_2 \in \mathcal{O}} ならば  {U_1 \cap U_2 \in \mathcal{O}}
  • 添え字集合  {\Lambda} の各元  {\lambda \in \Lambda} について  {U_{\lambda} \in \mathcal{O}} ならば  {\bigcup_{\lambda \in \Lambda}U_{\lambda} \in \mathcal{O}}

 {X} の部分集合のことを開集合といい、 {\mathcal{O}} を開集合族という。

部分集合  {F \subset X} に対して補集合  {F^c} が開集合であるとき、 {F} を閉集合という。

2つの位相空間  {(X,\mathcal{O}_X),\,(Y,\mathcal{O}_Y)} があるとき、写像  {f: X \to Y} が連続写像であるとは、任意の  {U \in \mathcal{O}_Y} に対して  {f^{-1}(U) \in \mathcal{O}_X} が成立していることである。

連続写像  {f: X \to Y} が全単射で、その逆写像  {f^{-1}: Y \to X} も連続写像ならば、 {f} {X} から  {Y} への同相写像であるという。

 {X} {Y} の間に同相写像が存在するとき、 {X} {Y} は同相であるといい、 {X \cong Y} と書く。

位相空間  {X} に対して、  {\mu} が位相不変量であるとは、以下が成り立つことをいう:

 {X \cong Y \,\Rightarrow\, \mu(X) = \mu(Y)}

十分多くの種類の位相不変量  {\{\mu_1,\dots,\mu_n\}} があって、

 {X \cong Y \,\Leftrightarrow\, \mu_1(X) = \mu_1(Y),\,\cdots,\,\mu_n(X) = \mu_n(Y)}

という関係が成り立てば、 {\{\mu_1,\dots,\mu_n\}} は完全な不変量であるという。

  • 位相空間  {X} の部分集合  {A} に対して、 {A} の閉包  {\bar{A}} とは、 {A \subset \bar{A}} を満たす閉集合であり、もしこの他に  {U \subset F} となる閉集合  {F} があったとしたら  {\bar{A} \subset F} が成立するものである。
  • 位相空間  {X} の部分集合  {A} に対して、 {A} の開核  {A^{\circ}} とは、 {A^{\circ} \subset A} を満たす開集合であり、もしこの他に  {U \subset A} となる開集合  {U} があったとしたら  {U \subset A^{\circ}} が成立するものである。
  • 位相空間  {X} の部分集合  {A} の(位相的)境界  {\partial A} を、閉包と開核の差で定義する: {\partial A := \bar{A} - A^{\circ}}

位相空間  {X} の次元  {\dim X} を以下のように帰納的に定義する。(ブラウアー・ウリゾーン・メンガーの次元)

  •  {\dim\varnothing = -1}
  • 位相空間  {X} の任意の点  {x} の任意の近傍  {V} に対して、 {x \in A \subset V} となる  {x} の近傍  {A} {\dim\partial A \le n - 1} となるものが存在するとき、 {\dim X \le n} と定める。
  •  {\dim X \le n} であり、 {\dim X \le n -1} ではない場合、 {\dim X = n} と定める。
  • いかなる自然数  {n} に対しても  {\dim X \le n} とならない場合、 {\dim X = \infty} と定める。

図形  {X} に変換  {g} を施すと図形  {gX} になり、図形  {X} に対して  {\mu(X)} という量が測られるとき、

 {\mu(gX) = \mu(X)}

という関係が成り立つことを、 {\mu} は変換  {g} についての不変量であるという。

連結成分の個数や次元は最も素朴な位相不変量である。

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