重力理論講義
SGCライブラリ - 63
重力理論講義
相対性理論と時空物理学の進展
前田恵一 著
2008年5月25日 初版発行
ニュートン重力理論と特殊相対性理論
物質がある有限領域に分布している場合を考える。
ある点()にある単位質量の質点に働く重力 は、重力ポテンシャル を用い、 で表される。
ニュートン重力理論は、楕円型方程式によって定式化される。
分布が与えられた瞬間にポテンシャルが求まり、質点に働く重力が決定される。(遠隔作用)
重力と曲がった時空
曲がった時空の世界間隔:
は時空の各点 に依存した計量である。
曲がった時空中の自由粒子の運動方程式は作用変分で与えられる。
世界間隔 はこの時空の「距離」の役割をし、変分は世界間隔が極値をとるということを意味する。
そのようにして得られた「最短」経路を測地線と呼ぶ。
リーマン幾何学と一般相対性理論
計量 が定義された 次元多様体 (リーマン多様体)を考える。
次元リーマン空間 上の2点 を結ぶ曲線 の長さ:
はアフィン係数と呼ばれ、曲線 を規定するパラメータである。
長さ の変分をとることにより2点 を結ぶ最短コースを求めると、曲線 の満たすべき方程式が得られる。(測地線方程式)
アインシュタイン方程式
設定する原理:
- 一般共変性がある。(一般相対性原理)
- エネルギー・運動量保存則が成立する。
- 非相対論的極限でニュートン重力理論を再現する。
アインシュタイン・ヒルベルト重力作用: