ε-δ 論法再入門
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ε-δ 論法再入門
直観から論理へ
中神祥臣 著
2009年12月25日 初版発行
- 論法の誕生(コーシー、ワイエルシュトラス)
数列の極限
を数列とする。
任意の正数 に対して、
を満たす が存在するとき、数列 は へ収束するといい、以下で表す。
このとき、 を数列 の極限という。
関数の極限
を関数とする。
任意の正数 に対して、
を満たす正数 が存在するとき、関数 は へ収束するといい、以下で表す。
このとき、 を関数 の のときの極限という。
実数についてのお話(デデキント、カントール、ヒルベルト)
実数 という集合は次の4条件で定義される。
- 四則演算(加減乗除)が成り立つ。
- 四則演算と両立する大小関係 が与えられている。
- アルキメデスの公理: を満たす任意の数 に対して、 ならば、 を何個か加えると となる。
- カントールの性質:閉区間の縮小列 の共通部分 は空ではない。
閉区間の2等分を繰り返して、所要の要素を求める論法を二分法という。
コーシー列
数列 が次の条件を満たすとき、 をコーシー列といい、条件をコーシーの(収束)判定条件という。
任意の に対して
を満たす自然数 が存在する。
コーシー列は収束列である。(完備性)
記号論理(ブール、ラッセル、ツェルメロ・フレンケル)
命題 に対して、次の4つの論理演算を導入する。
- : かつ
- : または
- : ではない
- : ならば
命題 と命題 が同時に成り立つとき、 と は必要十分または同値であるといい、 で表す。
- とその対偶 は必要十分である。
- と は必要十分である。
ド・モルガンの法則:
数列の収束を論理記号を使って書く。
数列 が
を満たすとき、 はある数 へ収束するという。
ド・モルガンの法則を使って書き直す。
数列 が
を満たすとき、正の無限大()へ発散するという。
を満たすとき、負の無限大()へ発散するという。