繰りこみ群の物理と数理
SGCライブラリ - 81
繰りこみ群の物理と数理
問題と解法の探求
伊東恵一 著
2011年3月25日 初版発行
繰りこみ群の原型
格子上の 模型を考える。
での偏微分を 方向差分で置き換える。
格子空間 上のラプラシアン()
$$ |S_d| = \frac{2\pi^{d/2}}{\Gamma(d/2)} = \begin{cases} 4\pi & d = 3 \\ \pi^2 & d = 4 \end{cases} $$
これは 次元格子空間上の Poisson 方程式の基本解であり、クーロンポテンシャルまたは重力ポテンシャルである。
で 上の普通の基本解に戻る。
単位格子空間 の中に任意に大きな正方領域 をとり、これを格子点 を中心に のブロック に切り分ける。
を だけスケールダウンした単位格子空間
この操作は続けられて が得られる。
内の 個のスピンの重み付き平均を に固定し、残りの自由度で積分、この手続きを 回繰り返し続けていくと、距離が での作用が得られる。
- は原点中心、大きさ の立方体 の内の点
- :ブロックスピン変換作用素
ブロックスピン変換はガウス測度 を(ほぼ)不変にする:
はブロックスピン とその周りの揺れの一次結合で記述される:
は に生きているガウス分布に従う揺動場で、短い相関をもつ。(相関長 )
も同様にガウス変数への分解をもつ:
すなわち は短距離相関をもつ独立なガウス変数 に分解される:
ブロックスピン変換を繰り返すと、ガウス測度 はガウス測度 に収束する。
- は を中心とする一辺の長さが の立方体
- は 次元球面の表面積 で記述される定数
微分方程式と繰りこみ群
発展方程式の一番高い階の微分の係数 が小さいとき、 で摂動を考えると時間 に対して一次で発散する解(永年項)が出てしまう。
真の解は
であるが、 として のオーダーで以下が得られる。
永年項 は、本来の解からみて発散している。
として を に入れ込む。( は繰りこみをする点に対応)
は元の方程式になかったので、 を要求する。
よって となり、特に と置けば永年項は消える。
これは繰りこみをする点 をパラメータとし、そのパラメータで包絡線をつくり、線形発散を消していると理解できる。
乱流と繰りこみ群
繰りこみ的思考
- 関数空間で積分するのに、相空間で局在分布する関数を取って計算していく
- スケール変化に対して共変なウェーブレット的なものを探していく