リーマン予想の数理物理
SGCライブラリ - 86
リーマン予想の数理物理
ゼータ関数と分配関数
黒川信重・小山信也 共著
2011年11月25日 初版発行
リーマン予想・ゼータ関数・分配関数
リーマン予想
リーマン・ゼータ関数
の零点( となる複素数 )のうち実数でないものはすべて実部が であろう。
オイラー積表示
リーマン予想には、素数の分布問題が密接に関係している。
ボーア兄弟の 1913 年:ゼータ関数と分配関数
ハラル・ボーアとエドムント・ランダウによる証明(1913年)
どんなに幅()を狭くしても漸近的に(確率1で)リーマン予想は成立する。
がすべての に対して成立する。
が本当にリーマン予想を満たす零点を数えているのであり、 はその近傍を見ている。
ゼータ関数の零点
ボーア・ランダウの定理
は で収束していて、恒等的に ではないものとする。
すると、各 に対して
における零点の個数 は である。
自然数 に対して、 を の原始的な(ディリクレ)指標とし、
とおく。
- のとき は である。
- なら は において収束する。
- なら は において収束する。
よって各 に対して、 の における零点の個数は となる。
一方、 における零点の個数は漸近的に なので次を得る。
各 に対して、 における零点の個数を とし、 における零点の個数を とおくと
の零点は直線 の近傍に存在している。
分配関数の零点
リー・ヤンの定理
互いに異なる整数 に対し絶対値が 以下の実数列 が与えられ、 を満たすとする。
集合 の 元からなる部分集合を とおき、 の補集合を とおく。
元部分集合 に渡る和を考える。
次方程式
のすべての解は、 を満たす。
この定理で とおけば、 は と同値であるから、リー・ヤンの定理はリーマン予想と同じ型の定理となる。
ゼータ関数と分配関数の一致
- 分配関数:
- リーマン・ゼータ関数:
固有値列が のとき、分配関数とリーマン・ゼータ関数は等しくなる。
形式的には、列 に対し の作用を と定め、 たちで張られる線形空間上に の作用を自然に拡張すれば、自明に構成できる。