量子多体系の物理
SGCライブラリ - 87
量子多体系の物理
量子現象の基礎を理解するために
藤本聡・川上則雄 共著
2011年12月25日 初版発行
量子多体論の基礎
量子多体系を理論的に取り扱うために、量子化された場で問題を定式化する。(第2量子化)
ボゾン
個の独立な調和振動子の集まり
ボゾンの生成消滅演算子が満たす交換関係:
調和振動子の基底状態を で表す。
調和振動子の固有エネルギーは で, は非負の整数。
固有関数を とすると、以下の関係が成り立つ。
フェルミオン
フェルミオンの生成消滅演算子が満たす反交換関係:
フェルミオンでは同じ状態を2つの粒子が占有することはできない。
フェルミ粒子が 番目の状態を占有している状態を 、占有していない状態を などと表す。
経路積分
相互作用する多粒子系の第2量子化されたハミルトニアンを考える。
()は波数 、スピン のボゾンまたはフェルミオンの消滅(生成)演算子である。
この系の分配関数
- 化学ポテンシャル
- 粒子数演算子
分配関数の経路積分表示
量子スピン系
磁性体の典型的なモデルとして量子ハイゼンベルク模型を考える。
- はスピン間に働く交換相互作用の強さを表すパラメータ
- は位置 に置かれた局在スピンの演算子
スピン・コヒーレント状態
分配関数の経路積分表示
くりこみ群の方法
フェルミオン系
スピン を持つフェルミ粒子が短距離相互作用している系を考える。
- はこの系のエネルギーバンド
- は化学ポテンシャル
- は相互作用定数
この系にくりこみ群を適用し、低温でどのような不安定性が生じるか調べる。