量子力学ノート
SGCライブラリ - 102
量子力学ノート
数理と量子技術
佐藤文隆 著
2013年12月25日 初版発行
量子力学と波動性
ヤングの干渉実験:
- 方向に進む波動がその進行方向に垂直に置かれた遮蔽板に当たる。
- 遮蔽板にはスリット状の二つの横長の穴が開いている。
- スリットの穴から漏れた光が背後のスクリーン上に像を結ぶ。
- 遮蔽板とスクリーンの間の距離を とする。
- 遮蔽板の二つのスリットの穴の幅を 、それらの間隔を ()とする。
- 鉛直方向を 軸にとり、遮蔽板状の座標を 、スクリーン上の座標を とする。
- スリット「上」の開口座標は から 。
- スリット「下」の開口座標は から 。
と の間の距離を の近似の下で計算する。
スクリーン上に達した時の波には、距離の違いによって位相差が生ずる。
位相差はスリットの各点から の球面波が生じたとして計算される:
スクリーン上での強度分布
これは を中心とした幅 の広い山の中に、より狭い幅 の縞模様を表している。
スリットを通った光線の広がりの程度は の条件から となる。 すなわち、 の角度の広がりができる。
量子力学の干渉効果
のシュレーディンガー方程式の解 :
方向に進む波動 が二つのスリットを通ってスクリーンに達するときのスクリーン上での強度分布は となる。
一個の粒子が「上」のスリットを通過した状態 と「下」のスリットを通過した状態 の重ね合わせで干渉の縞模様が生じる。
場の量子力学
個数状態:
- :個数作用素
- :消滅演算子
- :生成演算子
コヒーレント状態:
量子状態のエンタングルメント
スクリーン上の位置 の電磁ポテンシャル は、上下のスリットを通過した の重なり合いで決まる。
光子のエネルギーの作用素:
上下の各スリットに光子「有」状態を 、光子「無」状態を で表す。
- 光子一個のエンタングルした状態
- 度数分布 に従った干渉縞が現れる。
- 個数状態の積状態
- 干渉項はゼロ。
- コヒーレント状態の積状態
- 古典的波の干渉と同じになり、干渉縞が現れる。
- 光子無しとコヒーレント状態の絡み合った状態
- 干渉項はゼロ