数物系のためのミラー対称性入門
SGCライブラリ - 109
数物系のためのミラー対称性入門
古典的ミラー対称性の幾何学的理解に向けて
秦泉寺雅夫 著
2014年7月25日 初版発行
ミラー対称性の歴史
ヘテロティック弦理論の有効場理論は、 ゲージ群を持つ 超対称ヤン–ミルズ理論が結合した 次元 超重力理論で与えられる:
- 計量
- 多脚場
- 多脚場の超対称パートナー
- ディラトン場
- ディラトン場の超対称パートナー
- 2階反対称テンソル場
- ヤン–ミルズゲージ場
- ゲージ場の超対称パートナー
場の強さ:
- 重力の場の強さ:
- スピン接続:
- ゲージ場の強さ:
- 2階反対称テンソル場の強さ:
- 重力場に関するチャーン–サイモン微分形式:
- ゲージ場に関するチャーン–サイモン微分形式:
この理論を 次元多様体 でコンパクト化して得られる 次元の理論を考える。
次元理論での超対称性の要請:
簡単のためディラトン場 が定数であるとすると、 が成り立つ条件は以下で与えられる:
第一の条件を満たすには、 のホロノミー群は でなければならない:
- の一点 上の接ベクトル
- から始まって で終わる 上の閉曲線
- に沿って を平行移動させて を一周すると得られる接ベクトル
- 行列 は の部分群をなす: のホロノミー群
- は を のどんな閉曲線で1周させても元に戻ることを意味する。
- のリー環は のリー環と同型。
$$ U( C ) = \begin{pmatrix}G & \mathbf{0} \\ {}^t\mathbf{0} & 1\end{pmatrix},\quad G \in SU(3) $$
第二、第三の条件は、 のゲージ場 に、 のスピン接続 と一致するような真空期待値を持たせることで満たされる:
ゲージ群 は に値をとる真空期待値のため自発的対称性の破れを引き起こす。
- 片方の に を埋め込み、 と可換な部分群を とする。
- はゲージ群 を部分群として含む。
- massless フェルミオン場は の随伴表現 に値を取る場 から生じる。
が ホロノミーを持つとき、 は複素多様体(ケーラー多様体)の構造を持ち、 の点 における接空間 は正則部分と反正則部分の直和 に分解する: