数物系のための複素関数論
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数物系のための複素関数論
理工系の基礎数理として
河村哲也 著
2016年10月25日 初版発行
正則関数
- 複素変数:
- 複素関数:
関数 が領域 内のすべての点で微分可能であるとき は領域 で正則であるといい、 を正則関数という。
コーシー・リーマンの方程式
積分
コーシーの積分定理
関数 が単連結領域 で正則であるとする。
このとき 内の任意の閉曲線 に対して が成り立つ。
コーシーの積分公式
べき級数
ローラン展開
が正則関数 の特異点であり、 を中心とする半径 および の円周上および2つの円に挟まれた領域で は正則であるとする。
2つの円で挟まれた円環領域内に含まれる を囲んで1周する閉曲線をひとつ選び とする。
複素数による表現
コーシー・リーマンの方程式の複素数による表現
を2変数 の関数 として書く。
等角写像とその応用
等角写像
正則関数 によって 面の図形が 面の図形に写像される。
このとき、図形が十分に小さければ写像前の図形と写像後の図形は相似になる。
ラプラス方程式の境界値問題
調和関数:ラプラス方程式を満たす関数
正則関数による等角写像を、2変数の関数による変数変換とみなして、変数変換によってラプラス方程式がどのように変換されるかを調べる。
2変数 の関数 は の関数とみなすこともできる。
もとの平面で関数 が調和関数ならば、変数変換後の平面でも新しい変数に関して調和関数である。
留数定理とその応用
関数 の まわりのローラン展開における の係数
を の における留数と呼び、 と表す。
留数定理
領域 において、閉曲線 内に 個の極があるとする。
調和関数
正則関数
コーシー・リーマンの方程式より、任意の正則関数の実部および虚部は調和関数
関数論と近似計算
ニュートン法
が正則関数であるとして、 を近似解 のまわりでテイラー展開
は解に近いと考えられるためテイラー展開の2次以降の項を無視する。
近似式を用いて、次の近似値 を求める。
ベイリー法
ニュートン法の収束性をよくするため、級数の2次の項まで残す。
右辺の に対してはニュートン法の近似式を用いる。
セカント(割線)法
ニュートン法の微分を差分で置き換える。
2次元弾性論
2次元弾性体
- 方向のひずみ
- せん断ひずみ
- 方向の変位