数物系に向けたフーリエ解析とヒルベルト空間論
SGCライブラリ - 135
数物系に向けたフーリエ解析とヒルベルト空間論
量子科学への誘い
廣川真男 著
2017年7月25日 初版発行
線上で振動する粒子系
線上に振動している粒子を等間隔に並べ、それらの粒子を質点とみなし、その線を弦とみなす。
- 弦の線密度
- 弦の張力
- 弦の長さ
- 原点から 番目の粒子までの長さ
- 粒子の質量
- 原点から 番目の粒子の時刻 における変位
- 弦の両端は固定
番目の質点は 番目の質点と 番目の質点から逆向きに引っ張られているとする。
- 線分 と 軸のなす角
- 線分 と 軸のなす角
各粒子の振動が微小振動で、弦の波も微小になる場合を考える。
直線上で振動する粒子の運動方程式:
弦の長さ を維持し、質点 の数を増やし を十分大きくとる。
- 粒子同士の間隔
- 質点 の位置
- 時刻 、位置 における粒子が乗っている弦の 軸に垂直な方向の変位
波動方程式:
変位 の変数分離形:
- 波数
- 角振動数
フーリエ級数
波動関数 に対して関数 を で定義する。
関数 がこのように級数表示でき何らかの意味で収束するとき、これを関数 のフーリエ級数とよぶ。
定数 と を となるように決める。
区間の長さが同じであれば、フーリエ級数は弦の左端と右端の場所のとり方に依らない。
フーリエ変換
とする。
任意に をとり、 で与える。
極限 をとる。
関数 に対するフーリエ変換 、関数 に対する逆フーリエ変換 を以下で定義する: