ゲージヒッグス統合理論
SGCライブラリ - 143
ゲージヒッグス統合理論
素粒子標準理論のその先へ
細谷裕 著
2018年10月25日 初版発行
ヒッグス機構
理論が連続群 の対称性を持つとする。
のある表現のスカラー場 が自発的に真空期待値 を持ち、対称性が部分群 に破れたとする。
- の次元:
- の次元:
の独立な成分のうち、 個の成分が質量ゼロの南部・ゴールドストーンボゾンとして現れる。
理論が連続群 のゲージ対称性を持つと、 個のゲージ場 の成分は南部・ゴールドストーンボゾンを吸収し、質量のあるベクトル場となる。
のゲージ対称性は のゲージ対称性に自発的に破れる。
に対応する 個のゲージ場成分はゼロ質量のままにとどまる。
アハロノフ・ボーム効果と細谷機構
空間が単連結でないとき、場の強さだけでは表せないゲージ場の自由度が現れる。
ウィルソン線積分:
ゲージ変換のもと、ウィルソン線積分は共変的に変換される。
上の ゲージ理論を考える。
- : 基本表現のディラック場
周期的境界条件:
ゲージ変換後の場が満たす境界条件:
となるゲージ変換が理論に残されたゲージ不変性を表す。
を1周するウィルソン線積分 に を掛けた の固有値はゲージ不変である。
個の固有値 には の関係があり、 個の固有値が独立である。
を 上の ゲージ理論におけるアハロノフ・ボーム位相と呼ぶ。
細谷機構
アハロノフ・ボーム位相によりゲージ対称性は自発的に破れる。
対称な境界条件()の場合を考える。
は の定数モードとして記述できる。
ゲージ群 の生成子 のうち、 によって生成される部分群 が生き残るゲージ対称性である。