極小曲面論入門
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極小曲面論入門
その幾何学的性質を探る
川上裕・藤森祥一 共著
2019年3月25日 初版発行
極小(超)局面の基礎
を 次元多様体とする。
はめ込み のことを の超曲面という。
特に、 のときは の曲面という。
- の第一基本形式
- の逆行列 の 成分を で表す。
- の第二基本形式
- の型作用素
- は常に対角化可能であり、固有値は常に実数である。
- のガウス・クロネッカー曲率
- の平均曲率
変分
次の2条件を満たす 級写像
を の境界を固定する滑らかな変分という:
- 任意の に対して
- 任意の 、任意の に対して
はめ込み の境界を固定する滑らかな変分 を任意に1つとる。
各 に対して、はめ込み の体積を で表す。
内の 次元閉多様体 に対して、はめ込み が を満たし、かつ体積が最小ならば、 の任意の変分 に対して
が成り立つ。
このとき が成り立つ。
はめ込み の任意の変分 に対して、 が成り立つためには、 の平均曲率 が恒等的に 0 となることが必要十分である。
はめ込み が を満たすとする。
の第二変分 が の任意の非自明な変分 に対して正となるとき、はめ込み は安定であるという。
グラフ超曲面
で与えられるはめ込み を による超曲面のグラフ表示、または、関数 で表されるグラフ超曲面という。
- : の領域
- : 上の関数
を満たすグラフ(超)曲面は常に安定である。
任意のはめ込みは局所的にグラフ表示できるから、 を満たすはめ込み は局所的に安定である。
を満たすはめ込みを極小(超)局面という。
グラフ超局面の平均曲率:
関数 で表されるグラフ超曲面が極小超局面であるための必要十分条件:
ベルンシュタインの問題
全体で定義された関数 で表されるグラフ極小局面は平面に限る。