数理流体力学への招待
SGCライブラリ - 156
数理流体力学への招待
ミレニアム懸賞問題から乱流へ
米田剛 著
2020年1月25日 初版発行
Fourier 級数の基礎事項
Navier-Stokes 方程式の解の存在定理:ミレニアム懸賞問題
ミレニアム懸賞問題
3 次元 Naiver-Stokes 方程式の滑らかな解は時間大域的に存在するのか、または解の爆発が起こるのか。
Fourier 級数展開された Navier-Stokes 方程式:
- (divergence-free 条件)
- :Helmholtz-Leray 射影
- のとき:\begin{equation} P_n = \begin{pmatrix} 1 - \frac{n_1^2}{\vert n\vert^2} & - \frac{n_1n_2}{\vert n\vert^2} & -\frac{n_1n_3}{\vert n\vert^2} \\ -\frac{n_2n_1}{\vert n\vert^2} & 1 - \frac{n_2^2}{\vert n\vert^2} & -\frac{n_3n_2}{\vert n\vert^2} \\ -\frac{n_3n_1}{\vert n\vert^2} & - \frac{n_3n_2}{\vert n\vert^2} & 1 - \frac{n_3^2}{\vert n\vert^2} \end{pmatrix} \end{equation}
- のとき は単位行列
3 次元の場合:
- 初期値の大きさに関係なく、一意で滑らかな時間局所解の存在が得られている。
- 小さな初期値に対して一意で滑らかな時間大域解の存在が得られている。
2 次元の場合:
- 初期値の大きさに関係なく、一意で滑らかな時間大域解の存在が得られている。
Sobolev 空間の基礎事項
無限回微分可能で、かつ任意の に対して となる関数 全体を と定義する。
、 に対して Fourier 変換を定義する。
関数 に対する Fourier 変換は、任意の に対して次の等式を満たす関数 と定義する。
Sobolev 空間 は以下のように定義される。
Euler 方程式の時間局所解の存在定理
Euler 方程式:
3 次元の場合:
- に属する任意の初期速度場に対して、時間局所解が一意に存在する。
2 次元の場合:
- に属する任意の初期速度場に対して、時間大域解が一意に存在する。
未解決問題:
- 3 次元 Euler 方程式において、 に属する任意の初期速度場に対して時間大域解は一意に存在するのか?或いは有限時間で爆発する解が存在するのか?