応用のための確率論・確率過程
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応用のための確率論・確率過程
Introduction to Probability Theory and Stochastic Processes
松本裕行 著
2004年11月25日 初版発行
確率変数、確率分布
を空でない集合とし、 の部分集合からなる族 が以下を満たすとき、 を有限加法族と呼ぶ:
- ならば
- ならば も に属する。
集合 上の有限加法族 が -加法族であるとは以下をみたすことをいう:
- ならば
を可測空間と呼ぶ。
を集合 上の有限加法族とするとき、 の要素の増加列 に対して 、減少列 に対して が成り立つとき、 は単調族であるという。
有限加法族が -加法族であるための必要十分条件は、それが単調族であることである。
の要素 に対して正の実数 を対応させる写像 が以下をみたすとき、 を測度と呼び、 を測度空間と呼ぶ:
- 、()ならば
のとき、 を確率測度、 を確率空間と呼ぶ。
の開集合全体から生成される -加法族を と書いて、 の Borel 集合族と呼ぶ。
の区間の和で表現される集合からなる集合族 :
によって生成される -加法族は に一致する。
の部分集合 の外測度 :
上の測度 で、互いに交わらない区間の和集合に対して をみたすものがただ一つ存在する。
を 上の Lebesgue 測度と呼ぶ。
が確率空間 上の実数値可測関数であるとき、つまり任意の に対して のとき、 を確率変数という。
は確率変数 の値が の部分集合 に属する確率を表し、 は 上の確率測度を定める。
を確率変数 の確率分布または分布という。
- の平均:
- の分散:
の正規化:
独立確率変数の話
を独立で同じ確率分布に従う確率変数列(i.i.d.)とする。
- の分散
- の平均
大数の法則
は のとき に確率収束する。
つまり、任意の に対して次が成り立つ:
を正規化して得られる確率変数を とする:
中心極限定理
の確率分布は、 のとき、標準正規分布 に弱収束する。
特に、任意の に対して
ランダムウォーク
次元整数格子:
は整数
- の標準基底:
- は第 成分が で他はすべて であるベクトル
を
である i.i.d. とするとき、以下で定義される を を出発する 次元単純(対称)ランダムウォークと呼ぶ: