数物系のための圏論
SGCライブラリ - 75
数物系のための圏論
導来圏、三角圏、A∞ 圏を中心に
梶浦宏成 著
2010年7月25日 初版発行
背景と概観
対象 は、射 であって以下を満たすものが存在するとき、同型であるといわれる。
対象 の間の2つの写像 がある条件を満たすとき と はホモトピックであるとし、 と表す。
対象 がホモトピー同値であるとは、
が存在し、以下が成り立つときをいう。
集合論、環と加群の基礎
を環とする。
加法群 が右 加群であるとは、写像 、 であって、以下の条件を満たすものが存在するときをいう。
このとき、写像 を の右作用と呼ぶ。同様にして、左 加群も定義される。
が可換環の場合、 の右作用と左作用の区別がなくなるので単に 加群と呼ぶ。
ベクトル空間と加群のホモロジー代数
加法群の間の写像
- 核:
- 像:
- 余核:
- 余像:
準同型定理
加法群の同型 が存在する。
各 に対して を加法群、 を加法群の間の写像とする。
すべての について であるとき、系列 を複体と呼ぶ。
という条件は であることと同値である。
加法群の複体 に対し、剰余加法群
のことを 次のコホモロジーという。
導来圏
圏 とは
- ある数学的対象のクラス
- 任意の2つの元 に対して集合 、ただし に関して または ならば
- 任意の元 に対する写像
が与えられていて、以下の2つの条件を満たすものである。
- 結合律:, , , に対して
- 恒等射の存在:任意の元 に対して元 が存在し、任意の と に対し