無限量子系の物理と数理
SGCライブラリ - 98
無限量子系の物理と数理
小嶋泉・岡村和弥 共著
2013年4月25日 初版発行
量子論の代数的定式化 ミクロとマクロの共存と境界
が -代数であるとは、次を満たすことを言う:
- は複素数 を係数とする -代数である。
- は次を満たすノルム をもち、このノルムに関して完備である:
が -代数 上の状態であるとは、 であって次を満たすときを言う:
状態とは、物理量代数の各元に応じて複素数値の出力を行う写像である。 特に、自己共役元に対しては実数値の出力を行う。
が Hilbert 空間であるとは次を満たすときを言う:
- は複素数 上の線形空間である。
- には内積 が定義される:
Riesz の定理
任意の に対して、 が存在して、 が任意の に対し成立する。
Hilbert 空間 の元 を 、 の双対空間 の元 を と表すと、内積は次のように定義される:
Riesz の定理から であるため、任意の から定義される 上の線形汎関数 ()に対しては と表す。
Hilbert 空間上の有界作用素
と を Hilbert 空間とする。
を の部分空間とし、写像 が任意の と に対し以下を満たすとき、 は から への線形作用素、単に作用素と呼ばれる。
であって、任意の に対し、 となる が存在するとき、 を から への有界線型作用素、単に有界作用素と呼ぶ。
から への有界作用素全体を で表す。特に、 のとき、 と表す。
Riesz の定理から、任意の に対しある が一意に存在して、
が任意の に対して成立する。
GNS 表現
が -準同型写像であるとき、 を の -表現と呼ぶ:
Gel'fand–Naimark–Segal 構成定理
を -代数、 を 上の状態とする。
このとき、3つ組 が存在して
が成り立つ。
は の巡回表現であり、 はその巡回ベクトルである。
この3つ組を GNS 表現といい、ユニタリー同値を除いて一意に定まる。