ホログラフィー原理と量子エンタングルメント
SGCライブラリ - 106
ホログラフィー原理と量子エンタングルメント
高柳匡 著
2014年4月25日 初版発行
エンタングルメント・エントロピーの基礎
純粋状態
物理状態は波動関数 で指定され、系全体に相当するヒルベルト空間 に属すベクトル として記述される。
- シュレーディンガー方程式:
- 物理量:
混合状態
ある統計平均として与えられる混合状態は密度行列 で記述される。
- 物理量:
- フォンノイマン・エントロピー:
エンタングルメント・エントロピー
ヒルベルト空間 を と の直積に分解できたとする:
- に制限された密度行列:
- にのみに依存する物理量:
- エンタングルメント・エントロピー:
観測者が部分系 を見えないと仮定すると の情報が失われ、損失した情報量を が見積もっていると解釈できる。
全体系が純粋状態であれば、任意の の取り方に対して が成り立つ。
- 強劣可法性
- 荒木・リープ不等式
- 劣可法性
場の理論におけるエンタングルメント・エントロピーの計算
場の理論におけるエンタングルメント・エントロピーは、時間一定面の空間を と に分けることで自然に定義される。
レプリカ法:
次元の場の理論の分配関数 を考える。
は 枚のシートを領域 で張り合わせた 次元面 上の分配関数とみなせる:
共形場理論のエンタングルメント・エントロピー
共形変換:時空の計量がスケール倍を除いて保たれる座標変換
共形変換で不変な場の理論を共形場の理論と呼ぶ。
共形変換の生成子:
- 並進:
- ローレンツ変換:
- スケール変換:
- 特殊共形変換:
演算子の交換関係:
ある演算子が( で)スケール変換 の固有状態になっている場合、その の固有値を共形次元と呼び と書く。
- の作用は を 増やす。
- の作用は を 減らす。
- を作用すると消える場をプライマリー演算子と呼ぶ。
- プライマリー演算子に などを掛けて生成される場をディセンダントと呼ぶ。
無限小共形変換のプライマリー演算子 への作用:
- :演算子の内部スピン
2 次元共形場理論