相対性理論講義
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相対性理論講義
入門から弦の相対論的古典力学まで
米谷民明 著
2019年2月25日 初版発行
入門講義:運動と相対性
マイケルソン-モーリーの実験
仮説:マックスウェル方程式が正しいのはエーテルの静止系だけである。
エーテルに対して速さ で運動している座標系で、光が距離 だけ伝播したのち反射して戻ってくる時間を測定する。
- 運動方向と同じ方向に伝搬して戻ってくるまでの時間
- 運動方向と垂直な方向に伝搬して戻ってくるまでの時間
実験では時間のずれは検出されなかった。
収縮仮説:エーテルに対して運動しているとき、物体の長さが 倍縮む。
入門講義:アインシュタインの特殊相対性理論
エーテルに対する絶対的運動は物理的に意味がない。
相対性原理
物理系の状態の時間変化を支配する法則は、それを静止系で観測するか、静止系に対して一様な速度で一定の方向に移動している別の慣性系から観測するかによらずに全く同じものである。
光速不変の原理
全ての光線は、静止系の座標で測ったときに、光線を発した物体の運動状態によらず常に同じ速度 で伝わる。
入門講義:相対性理論の意味
- 観測者の速度によって時間の同時性がその位置に依存する仕方で静止系の時間とは異なる。
- 全ての信号や作用が伝わる速度は光速度を超えられない。
- 古典力学の意味での完全な剛体は存在しない。
入門講義:ミンコフスキー空間とテンソル解析
固有時間
粒子がミンコフスキー空間で描く軌跡(世界線)を考える:
軌跡をもともとの時間座標 を用いて表す。
粒子が任意の軌跡を描く場合でも、短い時間ごとにもとの慣性系に対して一定速度で動き、粒子が静止して見えるような慣性系を導入できる。(局所慣性系)
固有時間 は任意の軌道で運動している粒子ごとに固定した時計の目盛を表す。
運動量・エネルギー 4 元ベクトル
入門講義:相対論的運動と時間空間
相対論的な力を、相対論的運動量ベクトルの変化率と定義する。
固有時間を用いて書き直す。
力の 4 元ベクトル :
入門講義:場のテンソル解析と電磁場
電場と磁場の 3 次元ベクトルを 2 階反対称テンソル と解釈する。
双対テンソル:
電磁場テンソルを用いてマックスウェル方程式を表す。