例題形式で探求する集合・位相
SGCライブラリ - 163
例題形式で探求する集合・位相
連続写像の織りなすトポロジーの世界
丹下基生 著
2020年11月25日 初版発行
集合論
- 外延性公理:
- 内包性公理:
- 対の公理:
- 空集合の公理:
- 正則性公理:
- 和集合の公理:
- 無限公理:
- べき集合の公理:
- 置換公理:
- 選択公理:
公理 1 から公理 9 までの組合せで得られたものを集合と認めて展開する集合論を ZF 集合論という。
ZF 集合論に、さらに公理 10 を含めた集合論を ZFC 集合論という。
位相空間とその構成
を の部分集合全体の集合とする。
を集合とする。
以下を満たすような の部分集合 を開集合系(もしくは位相)といい、 の元を開集合という。
- を満たす。
- とする。 ならば、 を満たす。
- の任意の の集合族 に対して を満たす。
集合 と開集合系 を組みにした空間 を位相空間という。
集合 が閉集合であることを であることとして定義する。
位相的性質
連結性
位相空間 が連結であるとは、 が空ではない によって と表せないことをいう。
また、連結な位相空間を連結空間という。
位相空間 が連結ではないとき は非連結であるという。
つまり、どちらも空ではない開集合 が存在し、 となることである。
分離公理
位相空間 において、部分集合 が を満たすとき、 は開集合によって分離されるという。
- 公理
任意の異なる 2 点 に対して、
を満たす。
- 公理
任意の異なる 2 点 に対して、
を満たす。
- 公理
の任意の異なる 2 点が開集合によって分離される。
- 公理
の任意の 1 点とその点を含まない任意の閉集合が開集合によって分離される。
- 公理
の互いに交わらない任意の 2 つの閉集合が開集合によって分離される。
- 公理
任意の部分空間が 公理を満たす。
公理を満たす位相空間を 空間という。
- 空間は 空間であり、 空間は 空間である。
- 空間のことを特にハウスドルフ空間という。
- かつ 空間のことを正則空間、 かつ 空間のことを正規空間、 かつ 空間のことを全部分正規空間という。
被覆
位相空間 のある部分集合族 が の被覆であるとは、、つまり であることである。
被覆 が であるとき、 を開被覆という。
被覆 が可算集合族なら可算被覆といい、有限集合族なら有限被覆という。
また、被覆 に対して、 も の被覆であるとき、 を に対する の部分被覆という。
リンデレフ空間
を位相空間 の任意の開被覆とする。
の部分被覆で高々可算のものが存在するとき、 をリンデレフ(空間)という。
コンパクト空間
位相空間 の任意の開被覆 に対して、 に対する有限部分被覆 が存在するとき、 はコンパクトであるといい、コンパクトな位相空間をコンパクト空間という。
距離空間とコンパクト性
をハウスドルフ空間とする。
コンパクトハウスドルフ空間 と連続な埋め込み写像 が存在して、 が において稠密であるとき、 を のコンパクト化という。
パラコンパクト性
位相空間 の被覆 に対して被覆 が に対する細分であるとは、 となることをいい、 と書くことにする。
また、開集合からなる細分を開細分といい、閉集合からなる細分を閉細分という。
パラコンパクト空間
位相空間 において、任意の開被覆 に対して となる局所有限な開被覆 が存在するとき、 はパラコンパクトという。
位相空間の関連する話題
を連結なハウスドルフ空間とする。
のある開被覆 が存在して、 に対して が、ユークリッド空間 のある開集合 と同相であるとき、 を位相多様体という。
コンパクトな位相多様体を閉位相多様体という。
また、同相写像を としたとき、 を座標近傍系といい、 を座標近傍という。
このような は座標近傍によらず一定であり、 を多様体 の次元という。