弦理論と可積分性
SGCライブラリ - 165
弦理論と可積分性
ゲージ-重力対応のより深い理解に向けて
佐藤勇二 著
2021年2月25日 初版発行
ゲージ-重力対応
ゲージ-重力 () 対応
中のタイプ IIB 超弦理論は 4 次元 超対称 Yang-Mills (SYM) 理論と等価であり、次の関係が成り立つ。
- 超弦理論側
- : と の半径
- :閉弦の結合定数
- :弦の張力
- SYM 理論側
- :ゲージ群の階数(ブレインの枚数)
- :SYM 理論の結合定数
- :t'Hooft 結合
古典可積分系
Liouville 可積分性
自由度 ( 次元の位相空間)を持つ古典力学系が 個の独立な保存量 () を持ち、包含的である、すなわち が成り立つ時、その系は Liouville 可積分であるという。
Liouville 可積分な系の正準方程式の解は求積法により求めることができる。(Liouville の定理)
Lax 対
運動方程式が、適当な行列 の交換子を用いて表されたとする。
- Lax 方程式:
の固有値、、 など相似変換 の下で不変な量は保存量となる。 このような行列 の組を Lax 対という。
行列
を成分とする正方行列の基底を用いる。
Poisson 括弧
となる行列 が存在すれば、、即ち、保存量 が互いに包含的であることがわかる。
古典 Yang-Baxter 方程式
行列は、可積分な系の分類に用いることができる。
反 de Sitter 時空中の弦の古典解
中の古典弦の系は古典可積分な系となっており、可積分性に基づいた解析が可能となる。
量子スピン系
量子論における可積分性を考える。
スピン 等方的 Heisenberg 模型:
の時、ハミルトニアンは 行列となり、この行列を対角化することで模型を解くことができる。
行列 を導入する。
Yang-Baxter 方程式
Yang-Baxter 方程式から、十分な数の量子的な保存量が得られ、スピン 等方的 Heisenberg 模型は“可積分”といえる。